昨年8月にオーディションで選抜された新メンバー4人を迎え、9人の新体制となったダンス&ボーカルグループの超特急が、スペースシャワーTVとコラボしたライブ企画『超特急のザ・ベストナイン』を、3月2日に立川ステージガーデンにて開催した。メンバー9人がそれぞれ1曲ずつセレクトし、リーダーのリョウガいわく「やりたい曲を持ち寄った」ステージは、2015 年にスペースシャワーTVプラスで放送していた冠番組『超特急の希望の玉』にちなんだコラボ企画も交えて、普段のライブとは異なるアットホームな空気で進行。3月22日の最新アルバム『B9(ベストナイン)』リリースを前に、ソールドアウトの客席を埋め尽くした8号車(超特急ファンの呼称)を大いに笑わせ、共に楽しんで、さらなる未来へと向かう希望の光を灯した。
これまで超特急が出演してきた懐かしの番組映像を織り込んだオープニングムービーで、超特急とスペースシャワーTVが積み重ねてきた濃密な関係性を振り返ると、それぞれイメージカラーのスポットライトを浴びて号車順にメンバーが登場。9人が一列に揃ったところでライブの幕を開いたのは、ユーキの選曲による「NEW WORLD」だ。昨年末に行われたアリーナツアーのテーマソングであり、新たな理想の世界への旅立ちを誓うナンバーは壮大かつ実にヒロイックで、ユーキいわく「新しい時代を築き上げていくという想いの籠った、今年の超特急を象徴している曲」とのこと。タカシ&シューヤのツインボーカルによる爽快な歌声に、緻密で緊張感に満ちたダンスが導かれ、イメージカラーのスタイリッシュなスーツ衣装と相まって観ているこちら側の背筋までピンと伸ばしていく。一転「オーディションでも披露した思い出の曲」とマサヒロが選んだディスコポップ曲「Dance Dance Dancing!」では、アメリカをモチーフにした曲らしく、スケール感とエンタメ感を伴った軽快なパフォーマンスで魅了。9人になったことで賑やかさを増したステージングに、客席のペンライトも幸福感いっぱいに揺れて場内を彩る。
そんな120%のカッコよさを提示した直後、「あー足りねぇな!もっとバカになっていこうぜ!」というリョウガの叫びから、彼セレクトの「BakaBakka」でエキセントリックな表情を炸裂させるギャップの激しさも超特急の持ち味。容赦のない変顔や、曲中でタクヤを担ぎ上げるようなコミカルな振りつけの奥に込められた実は深いメッセージといい、「このライブの時間だけでもバカみたいに騒いでいきたい」というリョウガの選曲理由といい、メンバー編成が変わっても、この一筋縄ではいかなさは変わらない。
MCを挟んでからは、多彩なベクトルで新生超特急の底力が全開に。シューヤいわく「“ケードミレフォールチャ”という読み方を絶対に覚えてもらいたくて!」持ってきたという「Cead Mile Failte」は、ケルトの海を往く海賊の力強さを楽曲に落とし込んで、アイリッシュポルカとダンスミュージックを融合させた挑戦的楽曲。赤い照明の似合うストーリー性を備えたダンスは、とにかくワイルドで目を奪われてしまう。カイは「初めてオリコンウィークリーチャート1位をいただいた記念すべき曲で、個人的にも好きな曲」と「超ネバギバDANCE」をセレクト。頭の上に山を作る特徴的なダンスも、9人に増員したことで迫力が倍増し、さらにユーキがバク転する両側では新メンバーのアロハとハルもアクロバットを決めて、新体制ならではの進化を明確に証明する。続く「颯爽とハローマイラヴ」もメロディックな旋律にラップが交錯するツインボーカルならではの歌構成に、メンバー同士のコンタクトもふんだんに盛り込まれたパフォーマンスは笑顔いっぱいで、タクヤの選曲理由も「まーくん(マサヒロ)と手を繋げるから!」だそう。まさに颯爽と風を切って微笑むようなラブソングで生まれた愛らしい空気は、しかし「Feel the light」で一変する。共に高音域を武器とするタカシとシューヤが、その真骨頂を存分に発揮してハーモナイズする幻想的な響きの中で、7人のダンサーは時に床に倒れ込みながらも、シンクロ率の高すぎる動きで神秘的な世界観を創出。その独特すぎる空気感には「世界観に入りこめて、ライブでしか得られない非現実的を感じられるから」というタカシの選曲理由も納得だ。
ここで、試練をクリアすると希望の玉が光るという『超特急の希望の玉』の内容にちなみ、番組とのスペシャルコラボ企画がスタート。メンバーにちなんだ2択クイズに9人と8号車で挑むが、“ハルが最初にシャワーを当てる場所は?”“マサヒロが街中を歩く時どうしてもやってしまう変わった癖は? ”等、想定外すぎる難問に、なかなか全員正解が果たせない。その間、タカシの絶妙なツッコミに笑いのツボを直撃されたメンバーが立ち上がれなくなる一幕もありつつ、“ユーキが二度とやりたくない仕事は?”という最終問題で彼自身からヒントをもらい、なんとかミッションクリアを果たすと、“9人が選んだ以外の曲を8号車にプレゼント”というご褒美が。そこで「とても歴史の長い大事な曲。これから先も一緒に走っていこうという想いも込めて」(ユーキ)と始まったのが、2012年の1stシングル「TRAIN」の進化バージョンである「Re-TRAIN」だ。加入後のシューヤが最初にレコーディングした曲でもあり、二重の意味で超特急の幕開けを飾った曲で繰り広げられるユーキとアロハのダブルバク転、さらに主旋律とオブリガートを入れ替えながら掛け合うボーカルパフォーマンスは“圧巻”の一言。CDデビューから11年を経て、止まることのないパワーアップを視覚・聴覚両面から叩きつけていく。
そして、エントランスに展示していたメンバーカラーのサイン入り“希望の玉”を来場者にプレゼントする大抽選会のあとは、アロハとハルのセレクト曲が披露。まず「東京ドームへと続くレールに希望を乗せてお届けできたら」とアロハが告げ、新メンバーお披露目のステージで初めて9人で披露した「gr8est journey」が贈られると、ミラーボールが投げる眩い光の下、新メンバーそれぞれの個性が滲み始めたパフォーマンスに、新たな旅路への希望があふれ出す。会場中が一つになってメンバーカラー9色+8号車カラーであるピンクの計10色のペンライトを振る様も、実に壮観だ。ラストソングの「Burn!」では、さらにペンライトがバッテンに振り上がり、「オーディションでもやった曲で、僕自身元気をもらえる曲。一緒に踊って最高の時間を過ごしたい」というハルの言葉を体現。ライブでは常に8号車の声が力を与えてきたナンバーゆえ、カイは「心で叫んで!」と煽り、曲中の大サビはハルを中心に新メンバー4人で歌い上げて、熱い充実感のうちにライブを締めくくった。
最後にはカイから「好きな曲だけでセットリストを組むなんて貴重な機会。スペースシャワーTVさんとイベントをやるのは念願だったので嬉しい。定期的に続いていくように努力したい」という宣言も。そんな夢を叶えたステージは、3月30日にスペースシャワーTVにてオンエアされることが決定し、全国6箇所の映画館で同時上映イベントも行われるという。加えて、ライブの裏側にリハーサルから密着した番組『ドキュメンタリー・オブ・超特急のザ・ベストナイン』も4月19日にオンエア。メンバーそれぞれの“好きな曲”が詰め込まれ、9人の個性と笑いがあふれた普段とはちょっぴり違うステージを、ぜひ画面越しに確かめてほしい。とはいえ「メンバーそれぞれ好きな曲を選んだけど、好きじゃない曲なんてない」という去り際のアロハの台詞も真実。3月22日に到着する新体制初のアルバム『B9』を聴けば、また新たな“好きな曲”に出会えるはずだ。
文:清水素子
写真:曽我美芽
<セットリスト> ※カッコ内は選曲者
スペースシャワーTV主催のライブ企画「超特急のザ・ベストナイン produced by SPACE SHOWER TV」の放送同時上映イベントが決定!
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